インフルエンザワクチンについて
関東では涼しい日が増えてきました。10月にはインフルエンザワクチンの接種が開始します。
今回のテーマはインフルエンザワクチンです。新型コロナウイルスワクチンの接種が広がり、ワクチンそのものへの関心も高まっているのではないかと想像します。
新型コロナワクチンの接種が終わった方の中には、接種後の数日間、発熱やだるさといった副作用を経験した方もいるのではないでしょうか。副作用を実際に体験したり、身近に見聞きすると、怖い気持ちが生まれるかと思います。
ワクチンを接種するにあたっては、各個人がメリットとデメリットを知った上で、納得して接種することが大事ではないかと考えます。そこで今回はインフルエンザワクチンを接種することのメリット、デメリット、いつ接種するのが効果的なのかなどについて調べたことを書いていきたいと思います。
インフルエンザについて
インフルエンザ。実際に感染したことがある方も多いかと思います。一般には発熱、関節痛、頭痛、倦怠感などが症状です。体験するとかなりツライですが、若くて健康な方なら数日で後遺症なく自然に治ることがほとんどです。
しかし高齢者などでは、インフルエンザにかかった後に別の細菌に感染しやすくなり肺炎となる場合があります。
また小児では稀にインフルエンザ脳症を起こすことがあります。インフルエンザ脳症の死亡率は約30%で、後遺症も約25%の子どもに見られる重篤な疾患です。
日本では年間一万人くらいの方がインフルエンザを直接・間接の原因として亡くなるようです。
インフルエンザワクチンについて
インフルエンザワクチンの主な効果は①かかりにくくする②かかっても重症化しにくくするという2つです。新型コロナウイルスのワクチンと同じ効果ですね。ポイントは100%かからない、重症化しないというわけではないことです。実際、ワクチンを接種した年にインフルエンザに感染してしまう方もおり、そうなると接種の効果に疑問を持ってしまいます。
では①と②の効果の程度はどのように測られるのでしょうか。予防接種の効果は、接種した人としてない人それぞれ多数で発病の有無、重症化の有無の統計をとり、比較して判断します。例えば、未接種者の10%、既接種者の4%がインフルエンザを発病した場合。未接種者がもし接種していたら発病する人を10%から4%に減らすと考えて、発病阻止効果は60%となります。
国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています。
6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告されてい
ちなみに新型コロナウイルスのワクチンと比較すると、ワクチンの効果が弱くなったデルタ型でも、感染抑制効果は66-79%と高い効果があることが報告されています。また入院も90%以上減少させたとしています。
次にワクチンの主なデメリットである副反応についてです。現在のようなインフルエンザワクチンは1972年から接種が開始され、副反応の検討も長期間されています。大きな副反応は非常に稀で、まだ歴史の浅い新型コロナワクチンと比較すると安心感も高いと思われます。
主な副反応は接種した場所(局所)の赤み(発赤)、はれ(腫脹)、痛み(疼痛)等が挙げられます。接種を受けられた方の10~20%に起こりますが、通常2~3日でなくなります。
全身性の反応としては、発熱、頭痛、寒気(悪寒)、だるさ(倦怠感)などが見られます。接種を受けられた方の5~10%に起こり、こちらも通常2~3日でなくなります。
また、まれではありますが、ショック、アナフィラキシー様症状(発疹、じんましん、赤み(発赤)、掻痒感(かゆみ)、呼吸困難等)が見られることもあります。
ショック、アナフィラキシー様症状は、ワクチンに対するアレルギー反応で接種後、比較的すぐに起こることが多いことから、接種後は接種した医療機関内で安静にしてください。また、帰宅後に異常が認められた場合には、速やかに医師に連絡してください。
重い副反応の報告がまれにありますが、報告された副反応の原因がワクチン接種かどうかは、必ずしも明らかではないようです。
接種時期について
接種の時期はいつごろがよいのでしょうか。ワクチンの効果は接種から2週間から5ヶ月続くようです。来年1月2月が流行のピークなので、12月までの接種が推奨されています。
妊娠中の方も接種が推奨されています。インフルエンザの重症化のリスクが高く、また妊娠にも悪影響があると考えられるからです。妊娠中に接種すると生まれた子どもにも数ヶ月はインフルエンザの免疫がつくようです。
子どもに関しては、生後6ヶ月以上は接種が推奨されています。13歳未満では2回接種となります。3歳以上と3歳未満で1回の摂取量が変わります。
新型コロナウイルスの感染拡大でまだまだ医療逼迫が懸念される状況が続いています。特に発熱患者を救急で受け入れてくれる医療機関は今後も不足が続くでしょう。新型コロナウイルスとともにインフルエンザの感染や重症化も予防するのは賢明と言えるでしょう。
以上のようにインフルエンザワクチンはデメリットと比較して大きなメリットが見込まれ、多くの方が恩恵を受けられることを望みます。
春日部市備後の内科・消化器内科|大川医院|武里駅 一ノ割駅 (ookawa-clinic.com)
山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信 https://www.covid19-yamanaka.com/sp/
https://www.mhlw.go.jp › kenkouウェブ検索結果インフルエンザQ&A – 厚生労働省
日本経済新聞Up to date
日本小児神経学会 https://www.childneuro.jp/modules/general/index.php?content_id=
東京都感染症情報センター http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/flu/news/1998-2002/pro/p4/