脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症とは

脂質異常症(高脂血症)

血液中には脂質が含まれているのですが、その中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)とトリグリセライド(中性脂肪)が過剰な状態にある、もしくはHDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)が少ないという場合、脂質異常症と診断されます。
これらの脂質はいずれも、動脈硬化の進行と関連していますが、なかでもLDLコレステロールは単独でも強力に動脈硬化を進行させます。

次に、動脈硬化について分かりやすくご説明させていただきます。
水やりに使うホースをイメージしてください。新しいホースは柔軟性があり伸び縮みしますが、古くなってくると柔軟性が失われ亀裂が入り、ホース内を流れる水圧が高いと亀裂から水が漏れ出てしまうことがあります。
血管でも同じようなことが起きています。「ホース」は血管、「水圧」は血圧、「古くなったホース」は動脈硬化の進んだ血管をイメージしてください。
動脈硬化は、脂質異常症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病や喫煙などのリスクが重なりあうことによって、進行していきます。動脈硬化が進むと、血管内にプラークと言われるコレステロールが蓄積してできた血管のコブができ、これにより血管の内側が狭くなったり、最終的には詰まる原因になります。

脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症は、高血圧と同様に自覚症状が乏しいため、放置する方も少なくなく、動脈硬化を進行させやすい疾患です。そのため放置が続けば、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患や脳梗塞、閉塞性動脈硬化症といった重篤な合併症を引き起こします。

発症の原因については、脂質異常症を発症しやすいタイプの方が乱れた生活(偏食・過食、運動不足など)を続けることで発症する、あるいは糖尿病や甲状腺機能低下症、腎疾患などの病気やステロイド薬の長期使用によって発症する二次性脂質異常症といったことが考えられています。

【診断基準】
LDLコレステロール値≧140mg/dL(高LDLコレステロール血症)
中性脂肪≧150mg/dL(高トリグリセライド血症)
HDLコレステロール値<40mg/dL(低HDLコレステロール血症)

治療について

治療が必要との診断を受けたら、生活習慣の改善から始めていきます。この場合、それぞれの症状にあった食事療法を行っていきます。例えば、高LDLコレステロール血症と診断された方は食物繊維の多い食品(野菜、海藻、きのこ類など)を積極的に摂取し、肉よりも魚や大豆製品をとるようにします。また、コレステロールを多く含む食品(卵黄、レバー、魚卵、肉の脂身、乳製品 など)は控えるようにします。また高トリグリセライド血症と診断された方は、お菓子やジュース、お酒といった糖分が多く含まれた食品を控えるようにします。また運動療法については、中性脂肪を低下させ、HDL(善玉)コレステロールを上昇させる効果が期待できます。ただ激しい運動は必要ありません。無理のない軽度な有酸素運動で充分です。具体的には1回30分程度のウォーキングで効果が現れるようになりますが、これをできるだけ毎日続けるようにしてください。

また生活習慣の改善だけでは、LDLコレステロール値が目標の値まで下がらないという場合は、併せて薬物療法も行っていきます。これによってLDLコレステロール値を下げていきます。なお、目標値まで下がったとしても医師の指示があるまでは服用を勝手に止めるようなことはしないでください。